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『表具文化から探る日本のしきたりと和の心』-第Ⅰ.左右の章(その4)

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陰陽論のルール(その2)-必ず陽と陽、陰と陰を組み合わせる
 お酒飲みをなぜ「左党」というのでしょうか。
 そもそも盃は男であれば左手で持たなければならないというのが古来の作法とされます。
それは陽は陽、陰は陰と組み合わさねばならないという陰陽論のルールがあるからです。もちろん逆の、陽と陰の組合せはありません。

 すると、ご婦人方(陰)は盃を右手(陰)で持たなくてはいけないのかというと、まさにその通りです。
今でこそ女の酔っぱらいは珍しくありませんが、かつての女性がハレの場においてはお酌に専念したことから、お酒飲みは男性に限られました。これが男性の酒飲み、すなわち「左党」が酒飲みの代名詞となった根拠です。

 ちなみに、お酒を好んで飲む人を「左きき」ともいいます。これは陰陽論と関係なく、金鉱で働く人たちの仲間内の言葉から生まれた符丁とされます。
金を掘る人は右手に槌(ツチ)を、左手に鑿(ノミ)を持つことから、つまり「鑿を持つ手=ノミ手=飲み手」で「左きき」という駄洒落から生まれた言葉とされます。

 ところで、お酌をするときに酒器、たとえば徳利などの正式な持ち方はご存知でしょうか。
陰陽論では手の平が陽、手の甲が陰とされることから、左手は手の平を上に向けて酒器を支え、右手は手の甲を上にして酒器を持つ。つまり、陽は陽、陰は陰と組み合わせた仕方が、お酌をするときのマナーとされてきました。

 ちなみに、これを色里(遊里)では逆にしたのが慣わしでした。こうした徳利を持つ、手の平を上に向けた右手を外へひねって、しかも片手で酌をする例は江戸時代の絵草紙にも多く見られます。
 かつて色里でのしきたり、すなわち廓様(クルワヨウ)は独特の風俗を持ち、酌に限らず「逆さごと」が多く行われました。
これは、色里が現し世(ウツシヨ)ではない異界とされたことによるのでしょう。

日本料理の陰陽
 陰陽論はその他にも生活文化の中にさまざまな場面で息づいています。なかでも日本料理の世界においては顕著です。

 たとえば山(で採れた食材)が陽、海(で採れた食材)を陰とするところから、食する当人から見て左に陽のもの、右へ陰のものを配膳します。御飯を左、汁物を右とすることも、これを由縁としています。

 これは茶菓をお出しするときも同様であり、つまり固体を陽、液体を陰と見るところから、お菓子はお客様から見て左側、お茶は右側へ配します。
 また、尾頭付きの魚も頭(陽)を左へ向け、尾(陰)を右に配膳するのが作法です。このとき魚の腹は手前になり、背が向こう側となります。

つまり、右前の着装ルールと同様であり、手前が陰で向こうが陽という例がここにもあります。
 なお、魚は生きて泳いでいるときには背が上で腹が下になるので、人の場合とは逆に背が陽、腹が陰となります。

 平安時代から続く膳部料理の一流派、四条流では、腹背は陰陽逆転しますが、カレイも頭を左へ配してよいとしています。さらに魚についていえば海魚が陽、川魚が陰とされるので、川魚は頭を右へ向け背(陽)を手前にするそうです。

 さて、魚の腹背と同じような例に、一つの器の上へ別の食材を盛りつける場合も、手前には陰の食材、向こうには陽の食材を配するといった約束事があります。
 たとえば会席料理で用いる八寸と呼ぶ器には、取り肴が数種類盛り合わされます。このとき手前には刺身など海で採れたもの、その向こうには野菜など山(陸上)で採れたものを盛りつけるのがルールです。

包丁の陰陽と陰陽和合
 日本料理で最も大切な道具といわれる包丁の刃にも陰陽があるといわれます。
和包丁は一般に片刃であり、右手で包丁を握ったとき、上から見て左側は刃が無く平らです。そして、刃がついているのは握ったとき右側になる面です。この左側の平らな面が陰、右側の斜めの面が陽とされます。

 これの説明として、よく引合いに出される例が食材を切ったときの形状です。たとえばリンゴをむくとき、包丁の面の右側が食材に当たります。仕上がったものが丸いので、こちらが陽の面。
 逆に、豆腐などを切るときは左側の面が切り出す食材に当たり、仕上がった食材は四角く角が出ます。この形状から包丁の左面を陰とするものです。
 なお、球体と直方体を、それぞれ陽と陰と見るのは方円相対の応用編ともいうべきものでしょう。

 ところで、一般に刺身を造る場合には、あらかじめ短冊状にサク取りされた切り身から小分けされます。このとき切り出された刺身は包丁を傾けて一片ずつ起こされ、包丁の当たった面が上に向けられることが普通です。

 料理界では、サクを右から順に切ったものが陽の刺身、逆に左から斜めに削ぎ切りにすれば陰の刺身になるとしています。
つまり、包丁の右面(陽)で起こされた刺身が陽、包丁の左面(陰)を使って起こされた刺身を陰とするものです。
 そして、陽の刺身は陰の角皿に、陰の刺身は陽の丸皿に盛りつけなければならないとされます。これをもって料理界では陰陽和合とするのだそうです。

 しかし、陰陽論では元来、陽と陰の組合せは行いません。

 料理は素人である私が思うに、丸皿に盛られるフグの薄造りなどの盛り付けは、たとえば菊の花弁状に、円形(陽)となるよう並べてゆきます。
逆に、マグロなど四角くサク取りした身はいくら切っても四角いもの(陰)であり、盛り付けもブロックでなされます。
それぞれを丸皿(陽)、角皿(陰)に配するのはこれが本当の理由ではないかと考えます。つまり、本来が陽と陽、陰と陰を組み合わせていると思うのです。

 しかも陰陽和合とは、そもそも同格のものが絶妙なバランスを保ったときに用いられる言葉です。
ですから、皿と刺身を陰陽の対象にするのは、陰陽論の本義からすれば少し首を傾げざるをえないのですが、いずれにせよ日本における陰陽論では陰陽和合を最も大切な思想としてきました。
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2011年05月18日(Wed)
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