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『表具文化から探る日本のしきたりと和の心』-第Ⅲ.和漢の章(その18)

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ヒノキとマツ(キ)
 伊勢神宮の御神体は八咫鏡とされますが、これとは別に「真の御神体」と呼ばれるものがあります。
それは各正殿の床下に埋納される心御柱です。そして、この柱は檜材といわれます。

 こうした由縁からか、日本人は針葉樹崇拝の中でも特に檜信仰という独特の嗜好性を持ちます。

また、檜は仏像を造るのに用いる彫刻材、すなわち御衣木(ミソギ=御素木)の最適材として天平時代より連綿と用いられてきた、あるいは寺社建築材、特に伊勢神宮の遷宮に必須の建材であった、といったことから知れるように、檜は極めて格の高い木材とされてきました。

 ですから、「すぐ火がつく」から「火の木」となったとの説がありますが、日本と台湾でのみ生育する檜の語源は「日の木(日の本の男性神)」であったのかもしれません。

すると、御衣木に檜が用いられるのは、用材としての適性ばかりでなく、陰陽和合の一つの事例と考えることができるでしょう。
つまり、芯が和様(日の木)であり、外観が唐様(仏の姿)であるということです。

 ちなみに、北米産檜科の木で日本檜の特長を備えた米檜(ベイヒ)は、高価な檜の代替品として、すでに明治時代後半より輸入されています。
輸出する側では、当時の当地で、なぜ高く評価されていない米檜がよく売れるかが、はじめは理解できなかったそうです。

 松もまた日本人にとって神聖な常磐木です。日本神話によると特に黒松には神がその木に天降ることをマツ(待つ)意があり、これを松の語源とする説があります。

 また、能の題目で有名な高砂神話に登場する「尉と姥」も黒松と赤松の精霊という設定です。
さらに松は門松のような依代的な意味だけでなく、絵画の主題で樹齢の長い五葉の松(姫小松)が鶴亀とセットで表現されることからも、日本人は松に長寿の意を感じ取ってきました。

いずれにせよ、その名称に「キ(ギ)」こそ持たないものの、松が神道系の表現であることの証左は事欠きません。
 ただ、松は松木と称されることはあります。

 ところで、松は竹と梅を伴うと、ハレの祝儀事には欠かせないシンボルとなります。

これを日本で「松竹梅」といいますが、東洋画一般における画題としては「歳寒三友」と呼ばれます。
 中国では冬の寒さに耐えるものとして、この歳寒三友を尊びます。

松は常緑樹であるところから不変・長寿・不老不死を、竹は松と同じく雪霜(節操)に耐え節を保つところから志操堅貞を寓意し、梅は百花に先駆けて咲くところから慶びを示します。

 すなわち、松竹梅は「節を守り、厳しい苦難の歳月にも変心せず、花を咲かせて喜びのときを迎える」という三吉祥を揃えることで複雑な表現を可能にしたことから、日本では慶事のシンボルとなりました。

 ただ、松竹梅はあくまで中国由来のものであり、松竹梅のトリオのみならず、竹、梅の単独でも神事に用いることがありません。
そして、日本で松竹梅に描かれる竹は、幅の広い葉身だけで表現された笹であることが多いようです。

 つまり、松竹梅はその由来からも、唐様で用いる吉祥のシンボルなのでしょう。それは松竹梅が唐様の吉数「三」で構成され、ハレの場で用いられることからも知れます。

 なお、仏教では特に松を仏法不変や法灯の恒久的継続の象徴としてきており、禅語にも、たとえば「松無古今色」など松を詠み込んだ詩句が数多く見られます。

ナギとコウヤマキ
 熊野神社をはじめ多くの神社で神木とされる梛(ナギ)も常緑の針葉樹です。梛の葉身は針葉樹であるにもかかわらず広く、また強い縦脈があることから、これを縦に千切ることは容易ですが横に引き裂くことはなかなかできません。

これをもって、男女の縁が切れないようにと葉を鏡の裏に入れたり、御守り袋に入れて魔除けにしたそうです。さらに凪との音通から海難除けにも使われました。

 なお、梛の葉には微量の水銀が含まれ、先述したような不老不死を願ってか、修験者(シュゲンシャ)が好んで口にしたといいます。
修験者とは、山に籠もって修行を行い、さまざまな験(霊験)を得ることを目的とする修験道(シュゲンドウ)の実践者をいい、山伏(ヤマブシ)とも呼ばれます。

 ところで、日本密教は修験道と深い関係がありました。真言宗の開祖、空海は唐から密教を日本に伝え、丹生(丹砂が採取可能)の高野山に金剛峯寺を創建し、この高野山を高野山真言宗の総本山とします。

 一説に空海が膨大な費用を必要とした遣唐使の一員に私費で加われたのは、丹砂の利権を握っていた山岳修行者など山の民の援助があったからといわれます。

このためか、日本密教は山を神として敬う日本古来の山岳信仰の要素を取り込みます。逆に山岳信仰は神道、仏教、道教、陰陽道などが習合して日本独特の宗教、修験道として確立します。

 さて、高野山では日本固有種の常緑針葉樹である高野槇(コウヤマキ)が霊木とされます。この高野槇の名称は、この木が高野山で多く自生していたことに由来します。

 この高野槇が古代には最上級の棺材とされ、現在でも高野山を中心に供花の代わりとして利用されています。

 ちなみに、高野槇は樹形の美しさから世界三大庭園木や三大美樹に数えられ、今日では世界各地の公園や庭などに植えられています。
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2011年07月01日(Fri)
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