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『表具文化から探る日本のしきたりと和の心』-第Ⅲ.和漢の章(その15)

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菱餅とヨモギ
 雛祭りには菱餅がつきものです。菱餅は上から赤(紅)・白・緑の構成で、これは草餅の上に紅白の餅を置いたことに由来するともいわれています。

 赤い餅は解毒作用のある山梔子(クチナシ)で赤味をつけます。菱の実を入れた白い餅は、血圧低下などに用いる薬膳にしたといわれます。
緑の草餅は当初、咳止めや内臓などに良いとされる母子草(ゴギョウ)の草餅でしたが、後に増血効果がある蓬(ヨモギ)を使ったといいます。

 なお、紅白は毒などタタリを抑止する効果があると信じられてきたものです。これまでの流れでいえば、母子草あるいは蓬が毒を持つといえるのですが、これらは有毒成分を含みません。

 むしろ、フグに蓬の葉を添える料理店があるように、(実際はそうではありませんが)俗に蓬を食べるとフグの毒にあたらないと言い習わされます。
これは蓬の持つ精油成分やクロロフィルに殺菌力があり、そうした効用が古くより知られ民間薬として用いてこられたからです。

 今日でも、民間の伝承料理には蓬の生葉がさまざまな形で使われます。また、ケガをしたら蓬の葉を揉んでつけると治るといわれ、蓬は外用薬としても用いられてきました。

 こうした蓬は端午の節句で菖蒲と一緒に軒下へ差し、魔除けにすることもありました。これも蓬の殺菌力を基に生まれた風習でしょう。

 ただ、現代においても食中毒被害を生む、鳥兜の新芽と蓬のそれが似ている、あるいは草餅に用いるような野辺の草には毒を有していて、しかも食用草に似た雑草が多いといったところから、有毒な成分は含まれませんよという安全を担保する意味で草餅の上に紅白の餅を重ねたのかもしれません。

 さて、いずれにしても菱餅に用いる植物は全て薬草であることから上巳本来の行事の意味に合致する、というところが菱餅における配色の一つの根拠なのでしょうが、それでは菱形にしたのはなぜなのでしょうか。

 これには宮中で正月に食される菱葩餅を起源とする説があります。
また、菱の繁殖力の高さから子孫繁栄と、中国に菱の実だけを食べて長生きしたという仙人、鳧伯子に因み、長寿の願いを込めて菱形にしたという説があります。

 ですから、先合菱文様を雛図に用いるのは、桃の節句が女子の祭りだからという理由の他に、菱形が古来、子孫繁栄と長生を寓意するからでしょう。

菱形に見る唐様と和様
 江戸初期の茶人、小堀遠州は五三の比を常用したといいます。この5:3は黄金比(1.618…:1)に近似する整数比の一つです。そして、遠州は菱形を好んだといいます。

 紋章上絵師でもあった小説家、泡坂妻夫の『家紋の話』によると「(江戸時代の)上絵師は長年の勘によって、一番美しい菱」形の鈍角は正五角形の内角に等しいもの、としています。

 正五角形の一辺とその対角線の比は黄金比であり、すなわちこれから得られる菱形の一辺とその長手の対角線も黄金比に等しくなります。小堀遠州が好んだ菱形はこれをさします。

 黄金比は洋の東西を問わない理想のプロポーションとされており、作庭など建築や芸術に無類の才を発揮した遠州の審美眼は、こうしたことからも卓抜していたといえます。
そして、遠州の仕事には諸処に黄金比が見てとれるといいます。

 ところで、正六角形の対角線を結ぶことによって生まれる、正五角形のそれに比べると少し拉(ヒシ)いだ菱形もあります。
これは篭目紋のように正三角形を二つ合わせることによっても得られます[図-15]。

img15.gif

[図-15:正五角形と正六角形から生まれる菱形]

 菱餅や先合菱文様に見られる菱形は、こちらのタイプの菱形です。すなわち、有職文様に多く見られる菱形がこの正六角形から生まれたものであり、こちらの菱形が公家に好まれたものといえます。
また、この菱形は先述の麻の葉紋を構成するものです([図-8]参照)。

 ところで、小堀遠州は茶を千利休に学んだとはいえ、そもそも武人です。そして、利休亡き後は武家(〔真〕)の側に立った茶道の確立に力を尽くします。
 したがって、正五角形より生まれる菱形が唐様、正六角形からつくる菱形を和様と考えることができます。

 ちなみに、正五角形の対角線が一筆書きによって生まれる星形を中国で五芒星と呼びます。
これは先述の五行相克の関係を表現しているといわれます([図-13]参照)。
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2011年06月28日(Tue)
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