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『表具文化から探る日本のしきたりと和の心』-第Ⅲ.和漢の章(その14)

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桃の節句
 桃の節句の起原は平安時代に遡り、節日の中の一つ、上巳が後に桃の節句となります。
このころ上巳の節日には野山に出て薬草を摘み、その薬草で体のケガレをハラって健康と厄除けを願ったそうです。

 また、桃の節句は、紙や草でつくった「ひとがた(ひいな)」という人形に己のケガレを移して代役とし、この形代を川や海に流して身の災厄をハラった日本の伝統行事に因みます。
この風習を「流し雛」といい、これと平安貴族の子女が親しんだ「ひいな遊び(人形遊び)」とが結びつきます。

 室町時代には三月三日に定着し、やがて雛飾りを行うようになります。

この三月三日は中国で西王母(セイオウボ)の誕生日とされます。中国でのこの日は蟠桃会(バントウエ)と呼ばれ、西王母を祀る廟では今日でも不老長寿を願う多くの参詣人で賑わうそうです。

 西王母は中国西方の崑崙山に住むとされる、道教で古くから信仰されてきた女仙です。
そして、西王母は蟠桃と呼ばれる仙桃を管理するといわれ、この蟠桃を食すれば不老不死の仙人になれると信じられてきました。

ですから、日本での桃の実図の作例は少ないのですが、中国では桃の実図を吉祥の図柄として喜びます。

 ところで、日本ではこの桃の節句に、雛壇がなければ雛図を床飾りとして用います。雛図は人形姿の男雛と女雛を絵画化したもので、その中には「桃背負い」、すなわち男雛と女雛の上方に枝付きの桃花が描かれたものもあります。

 『古事記』には、黄泉平坂(ヨモツヒラサカ)という、この世とあの世の境でイザナギが追いかけてきたイザナミを退けるために桃の実を投げつけたという神話があります。
これは桃が邪気を払い生を招く果実だとする、古代の中国や朝鮮の道教的な俗信を下敷きにした話といわれます。

 ちなみに、桃の木を剣形にしたものは、道教の邪気除けの儀式において欠くことのできないものとされます。

 ですから、雛図に桃花が描かれるのは季節性、あるいは桃の女仙を考慮しただけでなく、桃に悪鬼をハラう力があると信じられてきたからであり、桃の節句の厄除け思想に合致したからです。

 ところで、人形姿の雛図を表具するときには、大和錦(ヤマトニシキ)と呼ぶ赤地の錦織物や赤地の金襴を作品周りへ配することが表具師に口伝されています。
これはアカが女性の性色であるという理由ではなく、そもそも雛(ひいな)が形代としてケガレを負った存在であるからでしょう。

 さらに、赤地織物のそのまた周りには花菱を組み合わせた先合菱文様を有する織物を慣用します。

 先合菱は有職(ユウソク)文様の一つであり、女子の装束であった単(ヒトエ)に好んで用いられた文様です。
これは大小の花菱を規則的に組み合わせた文様で、花菱とは4弁の花紋を菱形に表現したものです。

また、先合菱は先合(さきあい)にかけて幸菱(サイワイビシ)と呼び、武田菱(タケダビシ)とも俗称します。これは甲斐武田氏の紋所が四割菱(ヨツワリビシ)であったことに由来します。

 なお、有職は「ゆうしょく」とも読み、朝廷や公家の儀式・行事・官職などに関する知識をいいますが、有職文様は平安時代以来の公家階級で装束・調度などに用いられた伝統的文様をさします。

 それでは、なぜ公家女子の装束に多用された文様を雛図に用いるのでしょう。

それは上巳がそもそも公家の専らとしたマツリゴトであり、雛遊びが公家子女の遊びごとであったからです。

 こうした性格を反映して、江戸時代後期には「有職雛(ユウソクビナ)」とよばれる宮中の雅びな装束を正確に再現したものが現れます。
さらに、これが今日の雛人形につながる武家風の「古今雛」を生みますが、いずれにしても雛人形は、宮中における天上人の平安装束を模したものです。

 ただ、雛祭りが女子の行事として定着したのは、もう一つ理由が考えられます。それは和様=公家=女という〔行〕の性格を強く打ち出したいという朝廷や公家の欲求です。
 そして、もちろん端午の節句を武家が仮借したのは、逆の唐様=武家=男といった〔真〕意識の表れです。

これは、いずれの節句飾りも室町から江戸にかけて盛んになったことからもわかります。

 あるいは、陰がなければ陽は存在しないとする、武家側の都合によるバランスの維持が目的だったのかもしれません。

 なお、端午の節句は、田植え前に早乙女たちが田の神のため、社などに籠もってケガレをハラい清めるといった厄払いの行事であり、元来が女子の祭りであったといいます。
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2011年06月27日(Mon)
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