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『表具文化から探る日本のしきたりと和の心』-第Ⅲ.和漢の章(その9)

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陶器と磁器
 一般に焼物は陶磁器ともいいますが、陶磁器は磁器と陶器を併称するものです。

磁器は石物(イシモノ)とも呼ばれるように陶器と比べ硬質なもので、たとえば指で弾けばキンキンといった金属音がします。

これに対し、清水焼や丹波焼など陶器は磁器に比べ軟らかいことから、土物(ツチモノ)とも呼ばれます。そして、陰陽論では硬=陽、軟=陰と規定しています。

 掛軸の下部にある軸木両端に付いている巻くときの手かけを軸端や軸先といいます([図-2]参照)。
これにはさまざまな素材のものを用いますが、僧侶の書作品、つまり唐様作品へは、この軸端に陶器を用いないという表具師の口伝があります。

 さて、中国や朝鮮半島では、歴史的にみれば美術工芸品としての焼物が陶器から磁器へと変遷したように、本来磁器のほうが生活雑器とされる陶器より格の高いものと考えられています。

 生活雑器は雑器であるゆえに意匠を凝らしたものが少なく、これに反して、たとえば白地に藍青色の絵文様を施す青花(染付)などは主に磁器に用いられる技法です。
 また、磁器のなかでもあえて絵付けを行わない白磁や青磁は、中国で古くから珍重された玉(ギョク)に近づけるため開発された焼物の技法です。

 ちなみに、この玉とは、中国で先史時代から珍重されてきた「石の美なるもの」の総称です。玉は狭義には軟玉(ネフライト)をさし、広義には硬玉(ジェーダイト)、すなわち翡翠や瑪瑙、水晶などの貴石や宝石などを含みます。
ここでは軟玉である白玉や青玉、碧玉をさします。

 ところで、日本では伝統的に陶器と磁器の格付け順位に、それほどのこだわりは持ちません。それは一部の陶器が茶道でもてはやされてきた歴史を見ればわかります。
 その結果、日本の陶器は特殊な発展を遂げ、東洋はおろか、磁器と陶器をさほど区別しない西欧でつくられるものに対しても、芸術性、表現性に長けています。

 しかも陶器は吸水性があるからか、日本人にとって温かみ、すなわち抒情性や情趣性を感じさせてくれる焼物です。

 また、陶器はどちらかというと、いびつな形で作陶されることが多いようです。これに対し、磁器は対称性を備えた端正な形でつくられることが普通です。
なお、陶器の特にいびつな形を好むことは茶人の独創ではなく、茶道の興隆以前にも多く見られた傾向です。

 ところで、こうした不規則性、不完全性を好むのは何も陶器に限ったことではありません。先に記したアシンメトリーを好む性向も、不完全性を良しとする心性によるのでしょう。

 ただ、それには研ぎ澄まされた審美眼が必要とされますが、こうした非対称の美を鑑賞・創造する力は生来、日本人の文化的遺伝子に備わっている資質といわれます。

 さて、今日では備前焼や信楽焼など日本各地の陶器を国焼(国物)と総称することから、また磁器を特に英語でチャイナ(china)と呼ぶことからも知れるように、陶器を和様、磁器を唐様と位置付けることができます。

 ただ、英語でジャパン(japan)は漆器を意味します。日本には石器時代の太古から漆塗を使用してきた歴史があります。
この漆は通常の乾燥とは異なり、湿度が高くなればなるほど硬化が進みます。

 そして、湿気の多い日本では漆を利用する技術が古代より高度に発達したことから、漆器は日本を象徴する工芸品となっています。
なかでも日本オリジナルな漆芸技術である蒔絵を使って製品化されたものは、広く海外でも評価が高いものです。
 ですから、器物での対比を行うなら磁器=唐様、漆器=和様となるでしょう。

 ちなみに、漆には特別な力があると信じられてきました。触るとひどくかぶれる漆には、邪悪なもの寄せ付けない力があると考えられたからです。
あるいは、漆の利用価値が高いことと裏腹の、かぶれて炎症を起こすといった二面性が、漆に神性を見出してきた理由かもしれません。
これは触れることによって生じるタタリの構造が如実に現れる例です。

 ところで、表具では唐様絵画を屏風に仕立てるとき、その枠には黒塗を用います。そして、四隅を補強する角金具には金銅(コンドウ)製か真鍮製の金色を呈する金物を用います。
 逆に、和様絵画へは朱塗の枠を用いることが多く、このとき角金具には銀製の金物を取り合わせることが普通です。

このような唐様=黒・金、和様=朱・銀という組合せを表具師は公式のように用います。

 なお、漆塗で用いる木材の器胎(塗下地に用いる木地)には、広葉樹材に比べ一般に癖が少なく湿気に強いとされる檜や檜葉などの針葉樹材が用いられます。
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2011年06月22日(Wed)
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