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『表具文化から探る日本のしきたりと和の心』-第Ⅲ.和漢の章(その3)

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漢画と大和(やまと)絵
 室町時代の後期に、やまと絵の装飾的な技法を取り入れ、大画面構成による障屏画(ショウビョウガ)様式を大成したのが狩野派です。狩野派は日本絵画における漢画系の一画派です。

この「漢画」とは日本で生まれた言葉です。

鎌倉後期から輸入された宋元絵画の影響で、平安中期に成立した日本の風景や事物を描いたものを「やまと絵」と呼ぶようになり、この画系は室町時代に至って土佐派を形成するようになります。

 これに対し、やがて宋元画に倣って日本で生まれた唐様風絵画を漢画と呼ぶようになりました。

 ちなみに、やまと絵は大和絵、倭絵とも書きますが、大和絵と表記するのは江戸後期以降です。

 さて、狩野派の始祖、狩野正信は水墨画(漢画)を主としました。その子の元信はやまと絵の画法を取り入れ、明解で力強い装飾性をもって武家の好みに応じたといいます。
そして、織田信長、豊臣秀吉に仕えた孫の永徳は、後に徳川家の御用画師(ゴヨウエシ)となりました。

 しかし、やまと絵の技法を取り入れたとしても元は漢画にあり、狩野派によるものは日本で大成された唐様と捉えることができます。

これは、たとえば当時の障壁画に見る、隅の隅までの過剰ともいえる装飾を好む、また描画されていない空白部があるのを粗野と考える芸術観が、全くもって中国的なもの(唐様)であることからもわかります。

 一方、江戸前期に絵所預(エドコロアズカリ)として活躍した土佐光起は『本朝画法大伝』で「白紙も模様のうちなれば、心にてふさぐべし」、すなわち「空白部分も絵の一部なのだ。そこに何が描かれているか、想像しないといけないよ」といっています。

つまり、大和絵に見られる余白は暗示を意図するものです。
こうした暗示性や見立てを活用することは和様絵画だけでなく和歌や俳句といった日本独自の文学、はたまた表具の取合せでも常套の手法です。

 土佐光起は、やまと絵の伝統を受け継いだ土佐派を再興した人物です。また、絵所(エドコロ)とは平安以降、絵画に関することをつかさどり、宮廷の装飾や衣服の模様などを担当した役所であり、絵所預とはその絵所に所属する絵師(エシ)の長をいいます。

 したがって、画面を一杯に埋めるのが唐様絵画の特徴で、日本の伝統的な和様絵画は余白を残す点で大きな違いが見られます。

 唐様絵画のこうした性向は西洋絵画全般にも通じるものがあります。かのレオナルド・ダ・ヴィンチが描いた「モナ-リザ」も、今では霞んで見づらくなっていますが、そもそも背景はしっかりと描かれていたそうです。

 二次元的な芸術表現の、こうした違いは絵画作品だけでなく、書作品においても然りです。

仮名書は多く「散らし書き」というスタイルで作品化されます。「散らし書き」は歌を、行を整えず散らして書くことをいいますが、このとき作品画面に大きな余白を与えます。   
一方、中国の漢字書では、なるべく余白を設けないのが普通です。

 また、三次元的な表現においても、たとえば武家唐様の一大発露である日光東照宮など建築になされた彫刻による装飾においても見られるように、充満-余白は唐様と和様の一般的な相違点です。

ですから、自分の文章などを掲載することを意味する謙譲表現、「余白を汚す」も極めて日本的な慣用句といえるでしょう。

 ところで、今日の日本が世界に誇るサブカルチャー、マンガも和様を引き継ぐものと考えます。
日本のマンガは背景がぎりぎりまで省かれます。このことがマンガに一般性、暗示性を与え、ちなみに今では日本のマンガが全世界へ輸出されています。

 これに対し、たとえば米国のコミックは背景へくどいまでに手が掛けられています。これは日本で劇画と呼ばれるジャンルの作品群も然りです。
したがって、日本の劇画は唐様絵画の流れを引き継ぐものといえるでしょう。

 この劇画は海外へ輸出されたためしがほとんどありませんが、劇画のジャンルに収まらない一部の、手の込んだ背景を有するマンガは海外に熱狂的なファンを持っています。

 さて、西欧および北米の文化と中国文化は、西洋と東洋といった括りに縛られず、芸術表現の点において相似通った面があります。

これに対し、今日ほとんどの文明史学者が日本を世界六大文明、あるいは七大文明の一つと区分しているように、日本はこれまで極めて特殊な文明を築いてきました。
つまり、一文明一国家である日本の、その文化は多くの点で他の文明諸国と相違があります。

 また、日本語の発音が一語単位でなされるのに対し、日本語を含めたポリネシア諸語以外の言語がシラブル単位で発音されることからも、他の文明に比した日本文明の特殊性が知れます。
そして、これが短歌や俳句といった独自の文芸を生む基となります。
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2011年06月16日(Thu)
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