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『表具文化から探る日本のしきたりと和の心』-第Ⅱ.紅白の章(その17)

>>未分類

 麻は古来、神聖な植物とされ、麻には神が宿ると信じられてきました。
これは、麻の繊維から神道儀式の用具、たとえば神社の鈴縄や注連縄(シメナワ)、またケガレをハラうための大幣(オオヌサ)がつくられることからも知れます。

 ちなみに、大幣とは大きな串に付けたヌサ、あるいはヌサの美称をさします。また、大麻と記されることもあります。
それはヌサがそもそも神へ供える麻布であるからです。

 このヌサはハラう対象へ振って用い、これによってヌサへケガレが移るとされているものです。つまり、ケガレは移すこと、触ることによってハラうことが可能と考えられてきたものです。
ですから、麻にはこうした機能が具わっていると信じられてきた、と考えることができます。

 麻は横綱の化粧まわしにも使われます。
これに用いられるのはケガレを防ぐため、相撲が神事であったため、といった訳ばかりでなく、麻繊維が極めて強いことから、力強さを表しているという理由もあります。

 そして、繊維を取った後の余った茎である苧殻(オガラ)は、神事の一つでもあるお盆の際に迎え火・送り火を焚くのに用いられます。

 以上のように、麻は神道と深く結びついています。

麻布と紙
 麻は古代の重要な衣服の原料でした。以前は木綿布に対し、麻布が上布(ジョウフ)と呼ばれたように、神話に見られるミコトの衣服はすべて麻製のものであったといわれます。

 さて、「白羽(シラハ)」は衣服の古語であるといい、これは長白羽神(ナガシラハノカミ)に因みます。
長白羽神は麻を植えて織物を広めた神で、『古語拾遺』には天照大神が岩戸へ隠れたとき、麻で青ニギテをつくった神と記されます。

 さらに津咋見神(ツクヒミノカミ)を使わせて穀木を植えさせ白ニギテをつくらせた、ともあります。
 「(穀木は)木綿である」と注釈されますが、この「木綿」は「もめん」ではなく、「ゆう」と読みます。
ユウは和紙の主原料である楮の皮を剥ぎ、これを糸にしたもので、今も幣帛(ヘイハク)で用いられます。この幣帛とは神社で、神饌を除く神前に奉献するものの総称をいいます。

 ですから、古代には楮が「穀」、あるいは「紙麻」と記されることが多くあります。この紙麻はカミソ、あるいはコウソと訓み、これがコウゾ(楮)の語源になったといいます。

 なお、『古語拾遺』は平安前期に成立しており、この頃にはすでに楮が紙の主原料として用いられていたのですが、それ以前は麻布を使って紙漉きを行っていたといいます。
これは原初的な紙の製造法によるもので、中国後漢代の蔡倫(サイリン)が普及させたものも、麻屑や破れた漁網を使って漉いた、今日では紙とは言い難い「不織布」です。

 さて、以上の経緯から知れることは、古くから麻と紙が非常に深い関係にあったことを物語るところです。

 ところで、奈良時代は檀(マユミ)の樹皮で紙を漉いていたといいます。檀の実は熟すと果皮が割れ、真っ赤な種子をのぞかせます。檀の新芽は食用野菜となりますが、この赤い種子には毒があり、少量でも食すると吐き気や下痢を起こします。

 そして、この檀は以降の朝廷・幕府が明治維新に至るまで一貫して用いてきた高級公用紙、「檀紙(ダンシ)」にその名を留めています。
これに見られる二面性も、檀の格の高さを担保するものであったのかもしれません。

 さて、麻が青を象徴するのは染めているのではなく、その繊維が青みがかっているからだとする人もいます。

 しかし、ほとんどの植物にはタンニン酸が含まれます。タンニン酸は植物が自らの防菌のために備える茶系の色素です。
植物から繊維を採りだして利用するには、これをできるだけ取り除くのですが、残余のタンニン酸が生成り色の元になります。

 したがって、麻も例外ではなく、伝統的な手法で精製された麻繊維はやはり生成り色であり、青ニギテは本初から山藍によって染められたと考えるほうが妥当です。
麻衣という語も、大字典によると「しろき服」という意味であることからもわかります。

 ちなみに、先述の神官仕立や御霊神用の表具で上巻、すなわち掛軸の外装に用いる部材の色は浅葱色のものを用います(上巻→[図-2]参照)。

 これに対し、仏画作品の外装には紺の中でも最も深くて黒とも見紛う、「留紺」と呼ぶ色を用いるのが表具師の口伝です。
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2011年06月09日(Thu)
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