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『表具文化から探る日本のしきたりと和の心』-第Ⅱ.紅白の章(その11)

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アワビのワタと鯛のワタ
 東北地方には「猫にアワビの内臓を与えると耳が落ちる」という言い伝えがあります。事実、猫へ与えると耳がもげるそうです。

 これはアワビのワタ(内臓)にある葉緑素が変成した、フェオフォルバイドという物質が原因とされます。
なぜ、そうした毒性をもつのかというと、アワビが葉緑素を含んだ海草類を食料にしているからです。

 フェオフォルバイドは人にも少なからず影響があります。アワビのワタを食すると、人によっては光過敏症を示し、たとえば日光に当たった肌が炎症を起こします。

 ですから、「(陽光が強くなる)春から秋にかけてはアワビ(のワタ)を食べてはいけない」と言い慣わされているところもあり、実際にも春先にアワビのワタを食べると中毒を引き起こすことがままあるそうです。

 さて、以上のことからわかることは、アワビが梅干と同じように二面性を持つことです。これがアワビを熨斗鮑として用いる際に紅白の紙で包んだ理由でしょう。
 あるいは、ワタ、すなわち「毒物」は入っていませんよという保証の意図があったのでしょう。紅白の紙にはこうした安全を担保する意味もあったのだと考えます。

 ところで、「腐っても鯛」という慣用句があります。これは本来すぐれた価値を持つものは、落ちぶれてもそれなりの値打ちがあることのたとえ、とされます。
そして、このときの鯛とは真鯛をさします。

 ただ、真鯛は一般に、海底近くの岩礁に棲むことから、真鯛の内細胞の外膜は、その高い水圧に耐えるよう極めて頑丈にできています。
ですから、「腐っても鯛」には水産業者の言によると「腹がしっかりしているから、ワタが腐っていても外観からはわからないので安心はできない」といった別の意味があるとしています。

 しかし、逆に真鯛は同じ理由で本来が極めて腐りにくい魚です。また、多少鮮度が落ちたところで、丹念に洗えば煮物や焼物として食べることができる付加価値の高い魚です。
 また、真鯛は『古事記』など古来多くの文献に見られ、正月や結納の縁起物としても使われるように日本では古くから馴染みの、しかも格が高い魚です。

 ちなみに、欧米では真鯛が食い意地の張っているところから「悪魔の魚」や「貪欲な下魚」とされ、中国でも「死人の肉を喰らう魚」として、日本のような高い評価はなされていません。

 ところで、古くから日本で真鯛が好まれてきたのは「めでタイ」といった語呂合せだけでなく、その赤い色にも理由があったのでしょう。
すなわち、赤い色が真鯛の腐りにくい根拠であると考えられてきたのだと思います。

 そして、鯛はその赤い体表の内に白い身を備えています。恵比寿さんが真鯛を抱えるのもこうした理由であるのかもしれません。

 ちなみに、「海老で鯛を釣る」の諺は、小さな元手で大きな利益を得ることを意味しますが、恵比寿さんが商業神であり真鯛を釣った姿で表現されることから、恵比寿さんと海老の語呂合せによって生まれたものともいわれます。

 また、もともと恵比寿さんが釣竿を持つ姿で描かれるのはコトシロヌシと習合したからといわれます。
それは記紀神話によると、国譲りの要請を受諾する際に、コトシロヌシが釣りをしていたとされるからです。

 なお、本編でヱビス、ダイコクへ、それぞれ「さん」づけ、あるいは「天」をつけて表記しているのは、菅公の場合と同じです。

 さて、以上のことからわかるように、白と赤は防腐作用、あるいはタタリを防ぐものとして日本では対で用いられてきました。
特に白は結界を表し、赤には積極的な抑止作用を期待したといえそうです。そして、紅白で陽と陰の陰陽和合を構成し、その力が遺憾なく発揮できるよう万全を期したものと考えます。
 これが贈答品の包装に紅白紙をセットで用いることの意味でしょう。

 なお、赤の染料もシロい紙と同様に、以前は高価なものでした。ですから、かつて紅白の紙で包まれたものは、その中身が相当に高級な品であることを保証するものでもあった、と考えることができます。

 ところで、こうした紅白の紙や水引を重んじてきた影響からか、日本では包装文化が極めて発達しています。たとえば書籍が、海外では見られないカバーや帯、また箱などで装飾されるといった日本の書籍文化の特徴はこれに根差すものです。

 そこで、つぎは箱について考えてみましょう。
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2011年06月03日(Fri)
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